(中国)中国標準化法
中華人民共和国標準化法(2018年1月1日施行)
2018年1月に改正され国家規格(GB,GB/T規格)、業界規格、地域規格、企業規格に加えて新たに「団体規格」という分類が出てきました。国家規格、業界規格よりも技術要求の高い企業規格、団体規格を制定することを推奨しています。強制規格に適合しない製品、サービスは生産、販売、輸入してはならないことが規定されています。
中華人民共和国標準化法
(1988 年12 月29 日第7 期全国人民代表大会常務委員会第5 回会議を通過。2017 年11 月4 日第12 期全国人民代表大会常務委員会第30 回会議にて改定。)
第1章 総則
第1条 標準化作業を強化し、製品及びサービスの質を向上させ、科学技術の進歩を促し、人の健康及び生命、財産の安全を保障し、国家の安全、生態環境の保全を維持し、社会経済の発展レベルを向上させるため、本法を制定する。
第2 条 本法が称する標準(標準サンプルを含む)とは、農業、工業、サービス業及び社会事業などの分野で必要となる統一された技術要求のことを指す。標準には国家規格、業界規格、地方規格及び団体規格、企業規格が含まれる。国家規格は強制規格と推奨規格に分かれ、業界規格、地方規格は推奨規格である。強制規格は必ず実施しなければならない。国家は推奨規格を採用することを奨励する。
第3 条 標準化作業の任務には、規格の制定、規格の実施計画、並びに規格の制定、実施に対する監督がある。県クラス以上の人民政府は、標準化作業を本クラスの国民経済及び社会発展計画に取り込み、標準化作業経費を本クラスの予算に組み入れなければならない。
第4 条 規格を制定するには、科学技術の研究成果と社会での実践経験をもとに、綿密な調査と論証を行い、広く意見を求めて、規格の科学性、規範性、持効性を保証し、規格の質を高めなければならない。
第5 条 国務院標準化行政主管部門は、全国の標準化作業を統一して管理する。国務院関係行政主管部門は、本部門、本業界の標準化作業を分担して管理する。県クラス以上の地方人民政府標準化行政主管部門は、本行政区域内の標準化作業を統一して管理する。県クラス以上の地方人民政府関係行政主管部門は、本行政区域内の本部門、本業界の標準化作業を分担して管理する。
第6 条 国務院は標準化協調体制を確立し、標準化の重大改革の推進と重大政策の研究を統一して計画し、部門、分野を超えた重大な問題をかかえる規格の制定及び実施に対し、意見調整を行う。地級市市クラス以上の地方人民政府は、作業の必要性に応じて標準化協調体制を確立し、本行政区域内の標準化作業重大事項の意見調整を統一して計画することができる。
第7 条 国家は、企業、社会団体及び教育、科学研究機関などが標準化作業を展開する、或いは標準化作業に参画することを奨励する。
第8 条 国家は、国際標準化活動への参画を積極的に推し進め、標準化の対外提携と交流を繰り広げ、国際規格の制定に参画し、国情に合わせて国際規格を採用して、中国規格と国外規格との間の転化、運用を促進させる。国家は、企業、社会団体及び教育、科学研究機関などが国際標準化活動に参画することを奨励する。
第9 条 標準化作業において顕著な成果を上げた部門及び個人には、国家の関連規定に従い表彰し、褒賞を与える。
第2章 規格の制定
第10 条 人の健康及び生命、財産の安全、国家の安全、生態環境の保全を保障する、また社会経済を管理する基本要求を満たすための技術要求については、強制国家規格を制定しなければならない。国務院関係行政主管部門は職責に基づき、強制国家規格の項目提起、起草手配、意見募集及び技術審査に責任を負う。国務院標準化行政主管部門は、強制国家規格の正式立案、番号編成、対外通達に責任を負う。国務院標準化行政主管部門は制定予定の強制国家規格が前項規定に適合するかどうかについて立案審査を行い、前項規定に適合するものは正式に立案する。省、自治区、直轄市の人民政府標準化行政主管部門は、国務院標準化行政主管部門に向け強制国家規格の立案意見を提出することができ、国務院標準化行政主管部門が国務院関係行政主管部門と共に決定する。社会団体、企業事業所組織及び人民は、国務院標準化行政主管部門に向け強制国家規格の立案意見を提出することができ、国務院標準化行政主管部門が立案する必要があると考えるものは、国務院関係行政主管部門と共に決定する。強制国家規格は国務院が許可、公布するか、或いは許可、公布の権限を委譲する。法律、行政法規、並びに強制規格の制定に対し国務院が別途規定を設けるよう定めたものについては、その規定に従う。
第11 条 技術要求の中で、基本的な一般要求を満たすため、強制国家規格と組み合わせるため、各業界を牽引するためなどで必要となるものについては、推奨国家規格を制定することができる。推奨国家規格は国務院標準化行政主管部門が制定する。
第12 条 推奨国家規格がなく、全国の一部の業界内で統一した技術要求が必要となるものについては、業界規格を制定することできる。業界規格は国務院関係行政主管部門が制定し、国務院標準化行政主管部門に届け出る。
第13 条 地方の自然条件、風俗習慣など特殊な技術要求を満たすため、地方規格を制定することができる。地方規格は省、自治区、直轄市の人民政府標準化行政主管部門が制定する。地級市市クラスの人民政府標準化行政主管部門は本行政区域の特殊需要に応じて、所在地の省、自治区、直轄市の人民政府標準化行政主管部門の許可を経て、本行政区域の地方規格を制定することができる。地方規格は省、自治区、直轄市の人民政府標準化行政主管部門が国務院標準化行政主管部門に届け出て、国務院標準化行政主管部門から国務院関係行政主管部門に通達する。
第14 条 人の健康及び生命、財産の安全、国家の安全、生態環境の保全を保障する、並びに社会経済の発展のために至急必要となる規格項目については、規格を制定する行政主管部門が優先的に立案し、早急に完成させなければならない。
第15 条 強制規格、推奨規格を制定するには、立案時に各関係行政主管部門、企業、社会団体、消費者及び教育、科学研究機関などに実際の需要に対する調査を行い、規格を制定する必要性、実行可能性について論証、評価しなければならない。制定過程においては、簡便、有効であるという原則の下、さまざまな方式で意見を募集し、規格に関する事項についての調査分析、実験、論証を行うよう計画し、また関連する規格との間の調整、組み合わせに至るまで、確実に作業を行わなければならない。
第16 条 推奨規格を制定するには、関係者らで構成する標準化技術委員会を設置し、規格の起草、技術審査作業を請け負わなければならない。強制規格を制定するには、関係する標準化技術委員会に規格の起草、技術審査作業を請け負うよう委託することができる。標準化技術委員会が設置されていない場合は、専門家チームを結成し、規格の起草、技術審査作業を引き受けなければならない。標準化技術委員会及び専門家チームの構成は、広い範囲の代表性を備えたものでなければならない。
第17 条 強制規格の本文は無料で社会に向け公開しなければならない。国家は、推奨規格の本文を無料で社会に向け公開するよう推進する。
第18 条 国家は、学会、協会、商業界、連合会、産業技術連盟などの社会団体が、各関係する市場主体と協力し、市場及び新機軸を打ち出すのに必要となる団体規格を制定して、団体の構成員により採用を約定するか、或いは団体の規定に基づき社会で任意に採用するのに供することを奨励する。団体規格を制定するには、公開、透明、公平の原則を遵守し、それぞれの参加主体が関連情報を入手できるよう保証し、参加主体の共同要求を反映させて、規格の関連事項に対して調査分析、実験、論証を行うよう計画しなければならない。国務院標準化行政主管部門は国務院関係行政主管部門と共に、団体規格の制定に対して規範を設け、指導及び監督を行う。
第19 条 企業は必要に応じて企業規格を自ら制定するか、或いは他の企業と共同で企業規格を制定することができる。
第20 条 国家は、重要な業界、戦略的新興産業、核となる共通性のある技術などの領域で、自らの革新的技術を利用した団体規格、企業規格を制定することを支持する。
第21 条 推奨国家規格、業界規格、地方規格、団体規格、企業規格の技術要求は、強制国家規格の技術要求より低くなってはならない。国家は、社会団体、企業が推奨規格より技術要求の高い団体規格、企業規格を制定することを奨励する。
第22 条 規格を制定するには、資源を合理的に利用するのに有利であり、科学技術の成果を押し広め、製品の安全性、通用性、互換性を高め、経済効果、社会効果、環境保全効果を押し上げ、技術面で先進的で経済面で合理的でなければならない。規格を利用して、商品、サービスの自由な流通を妨害するなどの市場競争を排除、制限する行為をすることを禁止する。
第23 条 国家は、標準化による軍民融合と資源共有を推進し、軍民の規格共通化水準を高め、国防及び軍隊の形成において先進的で使用に適した民間用の規格を採用し、また先進的で使用に適した軍事用の規格を民間用の規格に転化することを積極的に推し進める。第24 条 規格は通し番号規則に則り番号を付けることとする。規格の番号規則は国務院標準化行政主管部門が制定し、公布する。
第3章 規格の実施
第25 条 強制規格に適合しない製品、サービスは、生産、販売、輸入または提供してはならない。
第26 条 輸出用の製品、サービスの技術要求は、契約の約定に従い実施する。
第27 条 国家は、団体規格、企業規格の自己声明の公開及び監督制度を実施する。企業は自社が実施する強制規格、推奨規格、団体規格、或いは企業規格の番号及び名称を公開しなければならない。企業が自社で制定した企業規格を実施する場合は、製品、サービスの機能指標及び製品の性能指標も公開しなければならない。国家は、団体規格、企業規格が規格情報公共サービスプラットフォームを通じ、社会に向けて公開されることを奨励する。企業は規格に基づいて生産、経営活動を行わなければならず、企業の生産する製品、提供するサービスは自社が公開した規格の技術要求に適合していなければならない。
第28 条 企業は新製品を研究開発する、製品を改良する、技術改革を行う場合は、本法に定める標準化要求に適合させなければならない。
第29 条 国家は、強制規格実施状況統計分析報告制度を確立する。国務院標準化行政主管部門及び国務院関係行政主管部門、地級市市クラス以上の地方人民政府標準化行政主管部門は、規格実施情報のフィードバック及び評価体系を構築し、フィードバック及び評価の状況に基づき制定した規格に対し再審査を行わなければならない。規格の再審査周期は、通常5 年を超えないものとする。再検査を経て、社会経済の発展ニーズ及び技術進歩に適応しなくなったものについては、速やかに修正または廃止しなければならない。
第30 条 国務院標準化行政主管部門は規格実施情報のフィードバック、評価、再審査の内容に基づき、規格の間で重複した部分のあるもの、或いは組み合わせる規格とかみ合っていないものについては、国務院関係行政主管部門と共に処理するか、或いは国務院標準化協調機構を通じて処理しなければならない。
第31 条 県クラス以上の人民政府は、標準化試験事業及び宣伝作業を展開し、標準化の理念を伝え、標準化の実績を押し広め、社会全体が標準化方式を運用して生産、経営、管理及びサービスを構築することを推進し、規格が構造転換と高度化を促進し、革新の原動力をけん引するサポートの役割を果たすよう支援していかなければならない。
第4章 監督管理
第32 条 県クラス以上の人民政府標準化行政主管部門、関係行政主管部門は法に定められた職責に従い、規格の制定に対し指導及び監督を行い、規格の実施に対し監督検査を行わなければならない。
第33 条 国務院関係行政主管部門の規格の制定、実施過程において論争が起こった場合は、国務院標準化行政主管部門が協議を行うよう手配をする。協議が成立しなかった場合は、国務院標準化協調機構が解決する。
第34 条 国務院関係行政主管部門、地級市市クラス以上の地方人民政府標準化行政主管部門が本法の規定通りに規格の番号付け、再審査、或いは届け出を行なかった場合は、国務院標準化行政主管部門が状況を説明するよう要求し、また期限を定めて是正するよう命じる。
第35 条 如何なる組織または個人であっても、標準化行政主管部門、関係行政主管部門に向け、本法の規定に違反する行為を通報、告発する権利がある。標準化行政主管部門、関係行政主管部門は、社会に向け通報、告発を受け付ける電話番号、私書箱、または電子メールのアドレスを公開し、通報、告発を受け付ける職員を配置しなければならない。実名で通報、告発する者に対し、通報、告発を受け付けた行政主管部門は処理結果を通知し、通告者の秘密を守り、国家関連規定に基づき通告者に褒賞を与えなければならない。
第5章 法律上の責任
第36 条 生産、販売、輸入する製品または提供するサービスが強制規格に適合しない、或いは企業が生産する製品、提供するサービスがその企業が公開している技術要求に適合しない場合は、法に則り民事責任を負う。
第37 条 生産、販売、輸入する製品または提供するサービスが強制規格に適合しない場合は、≪中華人民共和国製品品質法≫、≪中華人民共和国輸出入商品検験法≫、≪中華人民共和国消費者権益保護法≫などの法律、行政法規の規定に基づき取り調べて処理し、信用記録に登録して、関連する法律、行政法規の規定に則り公示する。犯罪に至った場合は、刑事責任を追及する。
第38 条 企業が本法の規定通りに自社が実施する規格を公開しない場合は、標準化行政主管部門が期限を定めて是正するようを命じる。期限までに是正しない場合は、規格情報公共サービスプラットフォームにおいて公示する。
第39 条 国務院関係行政主管部門、地級市市クラス以上の地方人民政府標準化行政主管部門が制定した規格が、本法第21 条第1 項、第22 条第1 項規定に適合しない場合は、至急是正しなければならない。是正を拒否した場合は、国務院標準行政主管部門が関係する規格を廃止すると公告する。責任者である幹部職員及び直接の担当職員を法に則り処分する。社会団体、企業が制定した規格が本法第21 条第1 項、第22 条第1 項規定に適合しない場合は、標準化行政主管部門が期限を定めて是正を命じる。期限をまでに是正しない場合は、省クラス以上の人民政府標準化行政主管部門が関係する規格を廃止し、規格情報公共サービスプラットフォームにおいて公示する。本法第22 条第2 項規定に違反し、規格を利用して市場競争を排除、制限する行為を行った場合は、≪中華人民共和国独占禁止法≫などの法律、行政法規の規定に則り処理する。
第40 条 国務院関係行政主管部門、地級市市クラス以上の地方人民政府標準化行政主管部門が、本法の規定通りに規格の番号付けまたは届け出を行わず、その上本法第34 条規定に従い是正も行わなかった場合は、国務院標準化行政主管部門が関係する規格番号を取り消すか、或いは未届けの規格を廃止すると公告する。責任者である幹部職員及び直接の担当職員を法に則り処分する。国務院関係行政主管部門、地級市市クラス以上の地方人民政府標準化行政主管部門が、規定通りに各々が制定した規格に対し再審査を行わず、その上本法第34 条規定に従い是正も行わなかった場合は、責任者である幹部職員及び直接の担当職員を法に則り処分する。
第41 条 国務院標準化行政主管部門が本法第10 条第2 項規定通りに強制国家規格を制定する項目に対して立案しなかった場合、制定した規格が本法第21 条第1 項、第22 条第1項規定に適合しなかった場合、或いは本法の規定通りに規格の番号付け、再審査または届け出を行わなかった場合は、至急是正しなければならない。責任者である幹部職員及び直接の担当職員を法に則り処分する。
第42 条 社会団体、企業が本法の規定通りに団体規格または企業規格に対し番号付けを行わなかった場合は、標準化行政主管部門が期限を定めて是正するよう命じる。期限までに是正しなかった場合は、省クラス以上の人民政府標準化行政主管部門が関係する規格番号を取り消し、規格情報公共サービスプラットフォームにおいて公示する。
第43 条 標準化作業の監督、管理職員が、職権濫用、職務怠慢、私情にとらわれて不正を働いた場合は、法に則り処分する。犯罪に至った場合は、法に則り刑事責任を追及する。
第6章 付則
第44 条 軍事用の規格の制定、実施及び監督規則は、国務院、中央軍事委員会が別途制定する。
第45 条 本法は2018 年1 月1 日より施行する。