(中国)中国省エネ法
≪中華人民共和国省エネ法≫(2018年版)
(1997年11月1日第8期全国人民代表大会常務委員会第28回会議において通過、2007年10月28日第10期全国人民代表大会常務委員会第30回会議にて改訂。2016年7月2日第12期全国人民代表大会常務委員会第21回会議≪<中華人民共和国省エネ法>等6本の法律改訂に関する決定≫に基づき第1回改訂。2018年10月26日第13期全国人民代表大会常務委員会第6回会議≪<中華人民共和国野生動物保護法>等15本の法律改訂に関する決定≫において第2回改訂。)
目 次
第1章 総則
第2章 省エネ管理
第3章 合理的使用によるエネルギーの節約
第1節 一般規定
第2節 工業の省エネ
第3節 建築物の省エネ
第4節 交通輸送の省エネ
第5節 公共機関の省エネ
第6節 主なエネルギー消費部門の省エネ
第4章 省エネ技術の進歩
第5章 奨励措置
第6章 法的責任
第7章 付則
第1章 総則
第1条 社会全体でエネルギーの節約を推進し、エネルギーの利用効率を向上させ、環境を保護し、経済社会全体による協力を下に持続可能な発展を目指すため、本法を制定する。
第2条 本法で称するエネルギーとは、石炭、石油、天然ガス、バイオマスエネルギー、電力、火力、及びその他直接または加工・転換を経て有用なエネルギーを得ることのできるさまざまな資源を指す。
第3条 本法で称するエネルギーの節約(以下、省エネと略称する)とはエネルギー管理の強化を指しており、技術的に実行可能で経済的にも効果があり、環境や社会が受け入ることのできる対策を取り入れることにより、エネルギーの生産から消費までの各段階で、消費の低減、損失や汚染物排出の削減、浪費の防止し、効率的かつ合理的にエネルギーを利用することである。
第4条 資源の節約はわが国の基本政策である。国は節約と開発の実施を並行して進め、省エネをエネルギー発展戦略の最優先とする。
第5条 国務院と県級以上の地方各級人民政府は、省エネ政策を国民経済、社会発展計画、年間計画に組み入れ、省エネ中長期特別計画や年間省エネ計画を立てて実行していかなければならない。
国務院と県級以上の地方各級人民政府は毎年人民代表大会または常務委員会において、省エネの作業状況を報告する。
第6条 国は省エネ目標管理制度と省エネ試験評価制度を実施し、省エネ目標の達成状況を地方人民政府と管理者に対する評価内容に含めることとする。
省、自治区、直轄市の人民政府は毎年国務院へ省エネ目標管理実施状況を報告する。
第7条 国は省エネや環境保護に役立つ産業政策を実施し、エネルギー消費や汚染が多い業種を規制し、省エネ環境保護型の産業を育成する。
国務院及び省、自治区、直轄市の人民政府は省エネ業務を強化し、産業構造、企業構造、製品構造、エネルギー消費構造を合理的に調整し、企業として会社と製品に投入するエネルギー消費量を削減し、古い生産能力を淘汰させ、エネルギーの開発、加工、転換、輸送、貯蔵、供給を改良していくことでエネルギーの利用効率を向上させるよう促す。
国は、新エネルギーと再生可能エネルギーを開発・利用することを奨励し、支援する。
第8条 国は省エネ科学技術に対する研究、開発、指導、普及を奨励し、支援する。
国は省エネについての宣伝・教育を行い、省エネに関する知識を国民教育と研修システムに組み込み、省エネの科学知識を広め、全人民の省エネに対する意識を高め、省エネ型の消費を行うよう提唱する。
第9条 如何なる組織や個人であっても法に従い省エネを実行する義務があり、またエネルギーを浪費させる行為を摘発する権利を有する。
新聞等のメディアは省エネに関する法律、法規、政策を宣伝し、世論の監督的役割を果たさなければならない。
第10条 国務院省エネ管理部門は全国の省エネ監督管理業務を主管する。国務院の関係部門は各自職責の範囲内で省エネ監督管理業務の責任を負い、また国務院省エネ管理部門の指導を受けることとする。
県級以上の地方各級人民政府省エネ管理部門は当行政区域内の省エネ監督管理業務に責任を持つ。県級以上の地方各級人民政府の関係部門は各自職責の範囲内で省エネ監督管理業務に対し責任を負い、また同級の省エネ業務管理部門の指導を受ける。
第2章 省エネ管理
第11条 国務院と県級以上の地方各級人民政府は省エネ業務に対する指導、計画、調整、監督、検査、推進を強化しなければならない。
第12条 県級以上の人民政府省エネ管理部門と関係部門は各自職責の範囲内で省エネの法律、法規、省エネ規格に対する実態の監督検査を実施することを強化し、違法行為を調査し処理しなければならない。
省エネ監督管理の職責を履行するにあたって、監督管理の対象から費用を徴収してはいけない。
第13条 国務院標準化主管部門と国務院の関係部門は法に則り省エネに関する国家規格、業界規格を制定し、また適時修正を行い、健全な省エネ規格体系を確立していかなければならない。
国務院標準化主管部門は国務院省エネ管理部門及び国務院の関係部門と共に、エネルギーを消費する製品や設備の強制性エネルギー効率規格と、生産過程でエネルギー消費量が多い製品を生産する部門の強制性製品エネルギー消費規制値規格を制定する。
国は企業が国家規格、業界規格に厳格に基づき企業の省エネ規格を制定することを奨励する。
省、自治区、直轄市は強制性の国家規格、業界規格に厳格に基づき地方の省エネ規格を制定し、省、自治区、直轄市の人民政府がこれを国務院へ報告し、承認を得ることとする。本法で別途規定するものを除く。
第14条 建築物の省エネ国家規格、業界規格については国務院建設主管部門が制定し、法律の手順に従い公布する。
省、自治区、直轄市の人民政府建設主管部門は国家規格または業界規格に厳格に基づき当地の実際の状況に合わせて地方の建築物省エネ規格を制定し、国務院標準化主管部門と国務院建設主管部門へ届出ること。
第15条 国は固定資産投資プロジェクトの省エネ評価と審査制度を実施する。強制性の省エネ規格に適合しないプロジェクトについては、建設部門は建設に着工してはいけない。既に建築が終わっているものについては生産、使用してはいけない。政府投資プロジェクトが強制性の省エネ規格に適合しないものはについては、法に則りプロジェクトの審査許可に責任を負う機関は建設許可を出してはならない。具体的な規則は、国務院省エネ管理部門と国務院の関係部門が制定する。
第16条 国は老朽化しエネルギー消費量が多い製品、設備、生産加工技術に対し、淘汰制度を採用する。淘汰された製品、設備、生産加工技術のリスト及び実施規則は、国務院省エネ管理部門が国務院の関係部門と共に制定し、公布する。
製品の生産過程におけるエネルギー消費量が多い部門は、部門製品エネルギー消費規制値規格を実施しなければならない。部門製品エネルギー消費規制値規格を超える生産部門に対しては、省エネ管理部門が国務院規定の権限に従って期限付きで改善命令を出す。
エネルギー消費量が多い特殊設備については、国務院の規定に従い省エネ審査と監督管理を実施する。
第17条 国が淘汰を命じている、或いは強制エネルギー効率規格に適合していない製品や設備を生産、輸入、販売することを禁じる。国が淘汰を命じている設備、生産加工技術を使用することを禁じる。
第18条 国は家庭用電気器具等の使用面積が広くエネルギー消費量が大きい製品に対して、エネルギー効率ラベルによる管理を実施する。エネルギー効率ラベルによる管理を実施する製品のリストや実施規則は、国務院省エネ管理部門が国務院市場監督管理部門と共に制定し、公布する。
第19条 生産者と輸入商は国家エネルギー効率ラベル管理製品リストに記載されている製品に対し、エネルギー効率ラベルを貼付し、製品の包装上または説明書に解説を加えることとし、規定通りに国務院市場監督管理部門と国務院省エネ管理部門が共に権限を与える機関へ届出なければならない。
生産者と輸入商は表示するエネルギー効率ラベル及びそれに関連する情報に対して責任を負う。エネルギー効率ラベルを義務付けられている製品に、その表示を付けずに販売することを禁じる。
エネルギー効率ラベルの偽造、盗用を禁じる。また、エネルギー効率ラベルを利用して虚偽の宣伝活動を行うことを禁じる。
第20条 エネルギーを消費する製品を生産、販売する者は、国の省エネ製品認証に関する規定に基づき国務院認証認可監督官部門が認可する省エネ製品認証に従事する機関で、任意での省エネ製品認証申請を行うことができる。認証に合格した後は、省エネ製品認証書を取得でき、製品または包装紙上に省エネ製品の認証ラベルを貼付することができる。
偽造の省エネ製品認証ラベルを使用する、或いは省エネ製品認証ラベルを盗用することを禁じる。
第21条 県級以上の各級人民政府統計部門は同級の関係部門と共に健全なエネルギー統計制度を確立し、エネルギー統計指標システムを整備し、統計方法を改良・規範化し、その正確性と完成精度を高く保たなければならない。
国務院統計部門は国務院省エネ管理部門と共に、各省、自治区、直轄市及び主要エネルギー消費企業のエネルギー消費状況と省エネ状況について定期的に公表する。
第22条 国は省エネサービス機関の発展を奨励し、省エネサービス機関が省エネについてのコンサルタント、設計、評価、試験、審査、認証等のサービスを展開させていくことを支援する。
国は省エネサービス機関が省エネに関する知識の宣伝や省エネ技術研修を展開することを支援し、省エネの情報や模範的な省エネ、その他公益性のある省エネサービスを提供する。
第23条 国は業界団体が業界内での省エネ計画や省エネ規格の制定と実施、省エネ技術の普及、エネルギー消費統計、省エネ宣伝研修、情報コンサルタント等の方面で効力を発揮することを奨励する。
第3章 合理的使用によるエネルギーの節約
第1節 一般規定
第24条 エネルギーを消費する部門は合理的なエネルギーの使用原則に基づき、省エネ管理を強化し、省エネ計画と省エネ技術対策を制定・実施し、エネルギーの消費を削減しなければならない。
第25条 エネルギーを消費する部門は省エネ目標の責任制を導入し、省エネで功績を収めたグループや個人に対し褒章を与える。
第26条 エネルギーを消費する部門は、省エネ教育と職場での省エネ訓練を定期的に行わなければならない。
第27条 エネルギーを消費する部門はエネルギーの測定管理を強化し、法検定に合格したエネルギー測定器具を規定通りに配備し、使用しなければならない。
エネルギーを消費する部門はエネルギーの消費統計とエネルギーの利用状況の分析するシステムを構築し、さまざまなエネルギーの消費に対する計測と統計を行い、その統計データが信頼できる完全なものであるということを保証しなければならない。
第28条 エネルギーを生産し販売する部門は、本部門の職員に無償でエネルギーを提供してはいけない。如何なる部門であってもエネルギーの消費に対し定額制料金を採用してはいけない。
第2章 工業の省エネ
第29条 国務院と省、自治区、直轄市の人民政府は資源の最適活用と合理的配置を推進し、省エネに効果的な業界の構造変更を行い、エネルギーを効率的に利用できる構造と企業配置を進める。
第30条 国務院省エネ管理部門は国務院の関係部門と共に電力、鉄鋼、非鉄金属、建材、石油加工、化学工業、石炭等の主にエネルギーを消費する業界の省エネ技術政策を制定し、企業の省エネ技術改革を推進する。
第31条 国は工業や企業が高効率で省エネ対応のモータ、ボイラー、溶炉、送風機、ポンプ類の設備を採用し、電力生産請負、余剰電力・圧力の利用、精製石炭、先進的なエネルギー測定装置や制御装置等の技術を採用することを奨励する。
第32条 電力ネットワーク企業は、国務院の関係部門が制定する省エネ発電調整管理規定に基づき清潔かつ高効率で規定を満たす電力生産請負企業や、余剰電力・電圧による発電設備、その他の資源総合利用規定に適合する発電設備を電力ネットワークと送電網に配備し運用させることとする。ネットワークへの接続料金は国の関連規定に従い実施する。
第33条 国家規定を満たさない石炭発電設備、石油発電設備、火力発電設備を新たに建設することを禁じる。
第3節 建築物の省エネ
第34条 国務院建設主管部門は全国の建築物の省エネに関する監督管理に対し責任を負う。
県級以上の地方各級人民政府建設主管部門が当行政区域内の建築物の省エネ監督管理に対し責任を負う。
県級以上の地方各級人民政府建設主管部門が同級の省エネ管理部門と共に当行政区域内の建築物省エネ計画を編成する。建築物省エネ計画には、既存建築物に対する省エネ改造計画も含まれなければならない。
第35条 建設工事中の建設、設計、施工、監督を行う部門は、建築物の省エネ規格を遵守しなければならない。
建築物の省エネ規格に適合しない建設工事は、建設主管部門が工事の着工を許可しない。既に工事が始まっているものについては施工を中止し、期限付きで改善命令を出す。建設が完了しているものについては販売、使用を禁止する。
建設主管部門は建設工事中における省エネ規格の実施状況に対し、監督検査を強化しなければならない。
第36条 住宅地開発会社が住宅を販売する際は、省エネ対策や保温設備の保守期間等の内容を購入者に対し明確に示さねばならない。また、住宅販売契約書、品質保証書、取扱説明書には、省エネ設備に対する信用性、正確性について責任を持つ旨を明記しなければならない。
第37条 空調による暖房、冷房を利用する公共建築物は、室内温度の管理制度を実施しなければならない。具体的な方法は国務院建設主管部門が制定する。
第38条 国は集中電力供給を行っている建築物に対し戸別の電力計による電力供給を行い、使用する電力量に基づいて料金を徴収する制度を採らなければならない。新たに建設する建物、或いは既存建築に対し省エネの為の改築を行う際は、規定に基づいた電力測定機や室内温度制御装置、電力供給システム調整装置を取付けることとする。具体的な方法は国務院建設主管部門が国務院の関係部門と共に制定する。
第39条 県級以上の地方各級人民政府の関係部門は都市の省エネ対策として電力使用料の管理を強化させ、公共施設や大型建築物の景観用照明の消費電力量を厳しく管理しなければならない。
第40条 国は新たに建設する建物、或いは既存の建築物に対し新型壁材等の省エネ建材と省エネ装置を使用し、太陽エネルギー等の再生可能エネルギーの利用システムを取付けて使用することを奨励する。
第4節 交通輸送の省エネ
第41条 国務院の交通運輸主管部門は各自の職責に基づき全国の交通輸送機関の省エネ監督管理に責任を負う。
国務院の交通運輸主観部門は国務院省エネ管理部門と共に関連領域における省エネ計画を制定する。
第42条 国務院とその関係部門は各種交通輸送方式により調和のとれた発展と効率的な接続ができるよう指導・促進し、合理化された交通輸送構造により省エネ型総合交通輸送システムを構築させる。
第43条 県級以上の地方各級人民政府は公共交通を優先的に発展させることとし、公共交通に対する投資を拡大し、サービスシステムの整備と公共交通機関の利用を奨励する。また、発動機を使用しない交通手段を利用することを奨励する。
第44条 国務院の交通運輸主管部門は交通輸送組織の管理を強化し、道路、水路、空路の輸送企業が輸送能力の組織化と集約化を向上させ、エネルギーの利用効率を上げるよう促さなければならない。
第45条、国は省エネ環境保護型の自動車、オートバイ、鉄道車両、船舶、及びその他の交通手段を開発、生産、使用することを奨励し、また老朽化した交通輸送手段の廃止や制度の改革を実施することを奨励する。
国は交通輸送機関が使用している再生燃料や石油代替燃料を応用し、開発・推進させていくことを奨励する。
第46条 国務院の関係部門は交通輸送機関の営業用車両・船舶の燃料消費量制限値規格を制定する。規格に適合しないものは運行に使用してはいけない。
国務院の交通運輸主管部門は営業用車両・船舶の燃料消費量の測定に対する監督管理を強化しなければならない。
第5節 公共機関の省エネ
第47条 公共機関は省エネを厳格に実行しなければならない。浪費を防止し、率先して省エネ製品や設備を使用するようにし、エネルギーの利用効率の向上を図らなければならない。
本法で称する公共機関とは、全部または一部に財政資金が投入されている国家機関、事業部門、団体組織を指す。
第48条 国務院と県級以上の地方各級人民政府管理機関の事務作業機関は同級の関係部門と共に、本級公共機関の省エネ計画を作成し、実行する。公共機関の省エネ計画には、公共機関の建築物省エネ改造計画も含まなければならない。
第49条 公共機関は年間の省エネ目標と実施方案を制定し、エネルギー消費量の測定と監督管理を強化し、本級人民政府管理機関の事務作業機関へ前年度のエネルギー消費状況を報告しなければならない。
国務院と県級以上の地方各級人民政府管理機関の事務作業機関は同級の関係部門と共に、管理権限に基づいて本級公共機関のエネルギー消費基準額を定め、財政部門がこの基準額に従いエネルギーの消費支出規格を制定する。
第50条 公共機関は本部門のエネルギー消費システム管理を強化し、システムの運用については国家規格を満たしていることを保証しなければならない。
公共機関は規定に基づいたエネルギー監査を実施し、この監査結果に従いエネルギー利用効率を向上させるための措置を取らなければならない。
第51条 公共機関がエネルギーを消費する製品や設備を購入する際は、省エネ製品・設備として政府調達リストに記載されているものを優先的に購入しなければならない。また、国家が淘汰を命じた製品や設備を購入することを禁止する。
省エネ製品・設備の政府調達リストは、省級以上の人民政府の政府調達監督管理部門が同級の関係部門と共に制定し、公布する。
第6節 主なエネルギー消費部門の省エネ
第52条 国は主なエネルギー消費部門に対する省エネ管理を強化する。
主なエネルギー消費部門とは、以下の通りである。
(1)年間のエネルギー総消費量が、標準石炭1万トン以上となる部門。
(2)国務院の関係部門または省、自治区、直轄市の人民政府省エネ管理部門が指定する年間のエネルギー総消費量が、標準石炭で5千トン以上1万トン未満の部門。
主なエネルギー消費部門の省エネ管理規則は、国務院省エネ管理部門が国務院の関係部門と共に制定する。
第53条 主なエネルギー消費部門は毎年省エネ管理部門へ前年度のエネルギー利用状況を報告しなければならない。エネルギーの利用状況には、エネルギーの消費状況、エネルギーの利用効率、省エネ目標の達成状況、省エネ効果と利益の分析、省エネ措置等の内容を含む。
第54条 省エネ管理部門は主なエネルギー消費部門から送られてくるエネルギー利用状況を審査しなければならない。省エネ管理部門は、省エネ管理制度が整備されていない、省エネ措置が取られていない、エネルギー利用効率が低いエネルギー消費部門に対し現地調査を行い、設備のエネルギー効率測定を実施するよう手配し、エネルギー監査を行うよう命じる。同時に、書面による改善要求を出し、期限付きで改善命令を出す。
第55条 主なエネルギー消費部門では必ずエネルギー管理を行う部署を設け、省エネの専門知識や経験を持った中級以上の技術職員の中からエネルギー管理責任者を任命し、省エネ作業管理部門と関係部門に届出ることとする。
エネルギー管理責任者は当部門のエネルギー消費状況について分析と評価を行い、エネルギーの利用状況を報告書にまとめ、省エネに関する改善対策や実施計画を提出することに対して責任を持つ。
エネルギー管理責任者は省エネ研修を受けなければならない。
第4章 省エネ技術の進歩
第56条 国務院省エネ管理部門は国務院科学技術主管部門と合同で省エネ技術政策要綱を公布し、省エネ技術の研究、開発、及び活用の普及を指導する。
第57条 県級以上の各級人民政府は省エネ技術の研究開発を政府の科学技術の重点項目に位置付け、科学研究部門と企業が省エネ技術の応用研究を進めることを支持し、省エネ規格を制定し、省エネで共通する重要技術を開発し、技術革新と成果の転化を促進させる。
第58条 国務院省エネ管理部門は国務院の関係部門と共に省エネ技術、省エネ製品の推進リストを制定、公布し、エネルギー消費部門及び個人が先進的な省エネ技術や省エネ製品を使用するよう指導する。
国務院省エネ管理部門は国務院の関係部門と共に重要となる省エネ科学技術プロジェクト、省エネ模範プロジェクト、重点省エネプロジェクトを実施するよう計画する。
第59条 県級以上の各級人民政府は地域密着、相互補助、総合利用、公益追求の原則に基づき、農業と農村における省エネ技術、省エネ製品の普及応用に対して資金の投入を増やす。
農業・化学技術等の関係主管部門は、農業生産、農産品の加工貯蔵運送等において省エネ技術と省エネ製品を普及させなければならない。エネルギー消費量の多い農業機械や漁業船舶を淘汰させることを奨励する。
国は農村においては大いにメタンガスを活用していくことを奨励し、生物質量エネルギー、太陽光エネルギー、風力エネルギー等の再生可能エネルギーの利用技術を普及させ、科学的な計画、秩序ある開発の原則に則って小型水力発電所を建設し、省エネ型の農村住宅や家電製品を普及させ、非耕地にはエネルギー源となる植物を栽培し、木炭等に育つ植林を行うことを奨励する。
第5章 奨励措置
第60条 中央財政及び省級地方財政は省エネ特別資金を配し、省エネ技術の研究開発、省エネ技術と製品の普及、省エネプロジェクトの実施、宣伝研修、情報サービス、表彰奨励等を支援する。
第61条 国は本法第58条に規定する推進リストに記載されている支援が必要となる省エネ技術、省エネ製品を生産、使用する場合は、税制面での優遇対策を取る。
国は財政補助金を通して省エネ照明器具等の普及、使用を支援する。
第62条 国は資源の節約に役立つ税制対策を打ち出し、鉱物資源の有償利用制度を整え、エネルギー資源の節約と採掘利用レベルを引き上げるよう促す。
第63条 国は税収面での政策を活用し、省エネの先進的な技術や設備の輸入を奨励する。また生産過程においてエネルギー消費量が多く、汚染物質が多く出る製品の輸出を規制する。
第64条 政府調達監督管理部門は関係部門と共に省エネ製品と設備に関する政府調達リストを制定する。政府調達リストには、省エネ製品認証を取得済みの製品と設備を優先的に取り込まなくてはならない。
第65条 国は金融機関が省エネ項目に対して信用貸付を強化するよう指導する。条件を満たした省エネ技術の研究開発や省エネ製品の生産及び技術改革に対しては、融資面で優遇するよう指導する。
国は社会の各方面が省エネに対する資金投入を増強させ、省エネの技術改革を加速させるよう指導する。
第66条 国は省エネに役立つ価格政策を実施し、部門や個人がエネルギーの節約に取り組むよう指導する。
国は税制や価格等の政策を利用し、電力需要の管理、エネルギーの契約管理、省エネについての任意協定書等の方法を推進させることを支持する。
国は電力量の増減による時間帯別料金、季節別の電力料金体系、負荷中断電力料金制度を設け、消費者が電力負荷を合理的に調整することを奨励する。鋼鉄、非鉄金属、建材、化学工場、その他主なエネルギー消費企業に対し、淘汰、制限、許可、奨励に分けた電力料金の差別化政策を実施する。
第67条 各級人民政府は省エネ管理と省エネ科学技術の研究・応用を行う上で、顕著な成果を挙げたものやエネルギーの浪費行為で部門または個人を摘発したものについては、表彰し報奨を与える。
第6章 法的責任
第68条政府投資プロジェクトの審査許可に責任を負う機関が本法の規定に違反し、強制的な省エネ規格に適合していない項目に対して認可や建設許可を出した場合は、直接責任のある主管職員やその他の責任者に対し法に則った処分を与える。
固定資産投資プロジェクトの建設部門が強制性省エネ規格に適合していない建設工事に着工するか、或いは当該プロジェクトが生産、使用に入った場合は、省エネ管理部門が建設の停止または生産、使用の停止命令を出し、期限付きで改善するよう命じる。改善ができない、または期限満了後も改善できない項目がある場合は、省エネ管理部門が本級人民政府へ報告し、国務院が規定する権限において業務停止命令を出す。
第69条 国が淘汰を命じた製品や設備を生産、輸入、販売した場合、或いは省エネ製品認証ラベルを偽造、盗用して使用した場合は、≪中華人民共和国製品品質法≫の規定により処罰する。
第70条 強制エネルギー効率規格に適合しない製品や設備を生産、輸入、販売した場合は、市場監督管理部門が生産、輸入、販売を停止するよう命じ、違法で生産、輸入、販売した製品や設備と違法所得を没収し、違法所得と同額以上5倍以下の罰金を科す。非常に悪質な場合は、営業許可書を取消す。
第71条 国が淘汰を命じる設備または生産加工技術を使用した場合は、省エネ管理部門が使用停止命令を出し、その設備を没収する。非常に悪質な場合は省エネ管理部門が本級人民政府に報告書を提出し、国務院規定の権限に従い営業停止・改善命令を出すか、または閉鎖命令を出すことができる。
第72条 生産部門が部門の製品エネルギー消費量規制値規格を超えてエネルギーを消費し、悪質であるため期限付きの是正を促したが是正しない、或いは是正内容が要求を満たしていない場合は、省エネ管理部門が本級人民政府に報告書を提出し、国務院規定の権限に従い営業停止・改善命令を出すか、または閉鎖命令を出すことができる。
第73条 本法の規定に違反しエネルギー効率ラベルを表示すべきものに対し表示がなされていない場合は、市場監督管理部門が改善命令を出し、3万元以上5万元以下の罰金を科す。
本法の規定に違反しエネルギー効率ラベルの届出を怠った場合、或いは使用するエネルギー効率ラベルが規格に適合していないものだった場合は、市場監督管理部門が期限付きで改善命令を出す。期限満了後も改善を行わなかった場合は、1万元以上3万元以下の罰金を科す。
エネルギー効率ラベルを偽造・盗用する、或いはエネルギー効率ラベルを利用し虚偽宣伝を行った場合は、市場監督管理部門が改善命令を出し、5万元以上10万元以下の罰金を科す。非常に悪質な場合は営業許可書を取消す。
第74条 エネルギー消費部門が規定に合っていないエネルギーの測定器具を設置・使用した場合は、市場監督管理部門が期限付きで改善命令を出す。期限満了後も改善を行わなかった場合は、1万元以上5万元以下の罰金を科す。
第75条 エネルギー統計資料の虚偽報告、偽造、改ざんを行う、或いは偽のエネルギー統計データを作成した場合は、≪中華人民共和国統計法≫の規定により処罰する。
第76条 省エネの相談、設計、評価、測定、審査、認証等のサービスに従事する機関が虚偽情報を提供した場合は、省エネ管理部門が改善命令を出し、違法所得の没収し5万元以上10万元以下の罰金を科す。
第77条、本法の規定に違反し当部門の職員に対し無償でエネルギーの提供を行う、或いはエネルギー消費に対して定額制を用いた場合は、省エネ管理部門が期限付きで改善命令を出す。期限満了後も改善を行わなかった場合は、5万元以上20万元以下の罰金を科す。
第78条 電力ネットワーク企業が本法の規定に従わずに規定を満たす火力発電所や余熱利用発電所等の機関と電力ネットワーク送電網の運用を計画した場合、或いは国のインターネット関連の価格規定に従わなかった場合は、国家電力監督管理機関が改善命令を出す。発電企業に経済的な損失を与えた場合は、法に則り賠償責任を負うこととする。
第79条 建設部門が建築物の省エネ規格に違反した場合は、建設主管部門が改善命令を出し、20万元以上50万元以下の罰金を科す。
設計部門、施工部門、監督部門が建築物の省エネ規格に違反した場合は、建設主管部門が改善命令を出し10万元以上50万元以下の罰金を科す。非常に悪質な場合は資格証明書を発行する部門が資格を降格させるか、または資格証明書を取消すこととする。損失が生じた場合は、法に則り賠償責任を負うこととする。
第80条 住宅地開発企業が本法の規定に違反し住宅販売時に購入者へ向けて住宅の省エネ対応、保温工事保守期間等の情報を明確に示さなかった場合は、建設主管部門が期限付きで改善命令を出し、期限満了後も改善を行わなかった場合は、3万元以上5万元以下の罰金を科す。上述の情報が虚偽宣伝に起因するものの場合は、建設主管部門が改善命令を出し、5万元以上20万元以下の罰金を科す。
第81条 公共機関がエネルギーを使用する製品や設備を購入する際に、省エネ製品や設備として政府調達リストに記載されているものを優先的に購入しなかった場合、或いは国が淘汰を命じている製品や設備を購入した場合は、政府調達監督管理部門が警告し、罰金を科してもよいこととする。直接責任のある主管職員とその他の責任者に対しては法に則り処分し、通報する。
第82条 主なエネルギー消費部門が本法の規定に沿わないエネルギー利用状況報告書を提出する、或いは報告書の内容が事実と異なる場合は、省エネ管理部門が期限付きで改善命令を出す。期限満了後も改善を行わなかった場合は、1万元以上5万元以下の罰金を科す。
第83条 主なエネルギー消費部門が正当な理由もなく本法第54条の改善要求を拒否する、或いは改善した内容が要求を満たしていない場合は、省エネ管理部門が10万元以上30万元以下の罰金を科す。
第84条 主なエネルギー消費部門が本法の規定に沿わずにエネルギー管理職を設け管理責任者を任命した場合、またこれを省エネ管理部門と関係部門への届出なかった場合は、省エネ管理部門が改善命令を出す。改善を拒否した場合は、1万元以上3万元以下の罰金を科す。
第85条 本法の規定に違反し犯罪を起こした場合は、法に則り刑事責任を追及する。
第86条 国家職員が省エネ管理業務において職権乱用、職務怠慢、不正行為等を行い犯罪に至った場合は、法に則り刑事責任を追及する。犯罪に至らなかった場合も、法に則り処分する。
第7章 付則
第87条 本法は2008年4月1日より施行する。